事象構成器解説

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LastUpdate: 1996-04-08

各測定器からの信号データは並列に処理される。これらを事象単位に 並べかえる必要がある。 各測定器からのデータサイズは事象毎に異なる。 従って、事象構成器の役割は、図1のようなデータを図2のように 並べかえることである。

各測定器を発信ノードとみなし、事象番号を受信ノードとみなすなら、 これは図3のようにネットワークデータ転送とみなすことができる。 従って、汎用のネットワーク技術を用いて事象構成器を構築すること ができる。

図3

事象番号は一方向に増大していくものであるが、実際には、受信ノード は有限である。受信ノードの処理能力が十分速ければ、受信ノード 番号を循環させることにより、この問題に対処することができる。 例えば8受信ノードで十分処理できるならば、事象番号の下3ビット を受信ノードの番号とみなせばよい。

事象構成器の場合の最大の問題は、同一時間に同一受信ノードへの 転送が集中することにある。例えば、事象番号が受信ノードの番号 に一致するように割り振られているとすると、最初の事象が起こった時、 すべての発信ノードは受信ノード1へデータを転送しようとする。 次の事象が起こった時には、すべての発信ノードは受信ノード2へ 転送しようとする、、という具合になる。 結局、ある1時点で見ると、1事象分の全データが一つのノードに 送られていることになる。
従って、一つのネットワーク媒体を共有している構成の場合、一つの 受信ノードのネットワークインターフェイスの最大転送速度が、 システム全体の最大転送速度となる。受信ノード数を増加させても、 転送速度は変わらない(事象処理能力はもちろんあがるが)。 すなわち、転送速度に対してスケーラブルでない。

転送速度に対してスケーラブルでないのは、ある時点で見た時に、 アクティブな受信ノードが一つしかないからである。複数の独立な 接続を用意して、各接続が各々別の事象を転送するようにすれば、 スケーラブルにできる。
これを実現する一つの方法は複数のネットワーク媒体を用意する ことである。媒体共有型のネットワークの場合、これは各ノード に共有する媒体の数だけのネットワークインターフェイスを用意する ことになる。これは、ネットワークインターフェイスのコスト面 からも、システムのオーバーヘッドの面からも好ましくない。