印刷

基本的な流れ

Windows における印刷は、基本的には画面に対する Graphics の描画と 同じである。Printer device context に対し、描画を行えばよい。違いは、 Job としてスプールさせることと、紙送りがあることである。

基本的な流れは、

1. printer device context に対し、StartDoc()関数を呼び出す。
2. StartPage() を呼び出す。
3. 描画する。
4. EndPage() を呼び出す。
5. EndDoc() を呼び出す。

Printer の指定

Printer を指定するには、通常 windows common dialog 関数の一つである PrintDlg() を使う。この時引数として渡す PRINTDLG構造体 の Flags メンバーに PD_RETURNDC を設定しておくと、ユーザが printer を 指定した時、対応する device context を生成して戻ってくるので便利である。 また、PD_RETURNDEFAULT も一緒に指定すると、dialog box を表示せずに 「通常使うプリンタ」の device context が得られるので、常に 「通常使うプリンタ」へ出力するプログラムにすることも容易にできる。

Job のキャンセル

印刷 Job は一般に時間がかかるので、途中でキャンセルする仕掛けが必要である。 これは、SetAbortProc() 関数に Callback 関数を渡すことで実現する。 SetAbortProc() 関数に引数として渡されるCallback 関数は、 BOOL 値を戻し、TRUE を戻せば続行、FALSE を 戻せば中止（キャンセル）となる。ドキュメントによれば印刷中は、約 2 秒に一回、 この関数が呼び出されるらしい。

例題プログラム

次の例は、指定された printer で、左上隅が(100,200)、右下隅が(300,500)の 長方形を印刷するプログラムである。なお、ここでは AbortProc() は常にTRUEを返している （つまり、この関数を削除して、かつ SetAbortProc() の行を削除してもよい）。 このソースコードを例えば prsample.c というファイルに書き出してコンパイル・リンクするには、

cl /W3 prsample.c comdlg32.lib gdi32.lib

/* prsample.c
**
** Sample program for print job.
**
** To compile and link,
**   cl /W3 prsample.c comdlg32.lib gdi32.lib
*/

#include <windows.h>
#include <tchar.h>
#include <commdlg.h>


BOOL CALLBACK AbortProc(HDC hdc, int iError)
{
  return TRUE;
}

void main()
{
  PRINTDLG pd;
  DOCINFO di;

  pd.lStructSize = sizeof(PRINTDLG);
  pd.hDevMode = (HANDLE)NULL;
  pd.hDevNames = (HANDLE)NULL;
  pd.Flags = PD_RETURNDC;
  pd.hwndOwner = (HWND)NULL;
  pd.hDC = (HDC)NULL;
  pd.nFromPage = 1;
  pd.nToPage = 1;
  pd.nMinPage = 0;
  pd.nMaxPage = 0;
  pd.nCopies = 1;
  pd.hInstance = (HANDLE)NULL;
  pd.lCustData = 0;
  pd.lpfnPrintHook = (LPPRINTHOOKPROC)NULL;
  pd.lpfnSetupHook = (LPSETUPHOOKPROC)NULL;
  pd.lpPrintTemplateName = (LPCTSTR)NULL;
  pd.lpSetupTemplateName = (LPCTSTR)NULL;
  pd.hPrintTemplate = (HANDLE)NULL;
  pd.hSetupTemplate = (HANDLE)NULL;

  if(!PrintDlg(&pd))
  {
    return;
  }

  SetAbortProc(pd.hDC, AbortProc);
  
  di.cbSize = sizeof(DOCINFO);
  di.lpszDocName = _T("Print Sample");
  di.lpszOutput = (LPCTSTR)NULL;
  di.lpszDatatype = (LPCTSTR)NULL;
  di.fwType = 0;

  if(StartDoc(pd.hDC, &di) <= 0)
  {
    DeleteDC(pd.hDC);
    return;
  }

  if(StartPage(pd.hDC) <= 0)
  {
    EndDoc(pd.hDC);
    DeleteDC(pd.hDC);
    return;
  }

  Rectangle(pd.hDC, 100, 200, 300, 500);

  EndPage(pd.hDC);
  EndDoc(pd.hDC);
  DeleteDC(pd.hDC);
}