Bit3 PCI/VMEアダプタの高エネルギー物理学実験への応用事例

Bit3 PCI/VMEアダプタの高エネルギー物理学実験への応用事例

高エネルギー物理学実験用データ収集システム

高エネルギー物理学実験用データ収集システムは検出器から信号を取り出し、 そのアナログ信号をディジタル信号に 変換してからディジタルデータとして計算機に取り込み、それを ディスクやテープ等のストレージデバイスに 記録します。このデータはその後物理解析に利用されます。 そのアナログからディジタルへのデータ変換には標準的な回路システムが 利用されます。その1つが VMEbusを基にした回路システムです。最近ではPCを使ったデータ収集 システムを組み上げる例が多く見られます。この場合のデータ収集システムに Bit3 PCI/VMEアダプタを利用しています。

高エネルギー加速器研究機構/素粒子原子核研究所/オンライングループの役割

高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所/オンライングループは 全国大学の共同利用研究所としてデータ収集に関わる装置の研究/開発/保守/管理 等を行なっています。その一環として共同利用者にBit3 PCI/VMEアダプタの利用 サービスを提供しています。


この写真は 共同利用者からのさまざまな要求に答えるために設けられたテスト実験用 セットアップです。PCにBit3 PCI/VMEアダプタを接続しています。 使用されるデバイスドライバはオランダにある NIKHEP研究所のナタリアさんが開発されたものです。 彼女はすでにNIKHEPを去られましたが、そのドライバは世界の多くの大学 研究所で利用されています。高エネルギー研究機関にも多くのユーザがおります。 オンライングループではナタリアさんと相談し、当面オンライングループで ドライバの保守(kernel2.4への対応を含む)を行なうことを彼女に快く 承諾していただきました。オンライングループのBit3 PCI/VMEアダプタ関連の ページは Welcome to vmelib for Linux Home Pageと古いページですが VMEbus and CAMAC for PC/Linux です。

国際共同実験計画LHC/ATLAS実験への応用事例

ヨーロッパの研究機関の1つである CERN研究所の 将来計画LHC/ ATLAS実験は 素粒子物理学の標準理論の要となる電弱対称性の破れ機構の原因を明らかにする ために行なわれる実験です。2006年の実験開始に向けて ATLAS日本グループは超電導電磁石や検出器やエレクトロニクスや計算機等さまざまな分野に貢献しています。 オンライングループはそのアクティビティーの1つとして、 これをサポートしています。 ATLAS日本グループが担当する検出器 Thin Gap Chamber(TGC)エレクトロニクスは さまざまなASICやFPGAから構成しています。 日本グループはそれらを開発し、それらの働きをチェックするために テストベッドを用意しました。 この中にもBit3 PCI/VMEアダプタが使われています。 このテストには分散オブジェクト技術CORBAを用いた汎用VMEアクセスライブラリ が利用されています。

K2Kつくばー神岡 長基線ニュートリノ振動実験への応用事例

K2Kつくばー神岡 長基線ニュートリノ振動実験は 高エネルギー加速器研究機構(KEK)の陽子加速器を 用いて発生させたニュートリノを岐阜県神岡に設置された大型検出器(スーパー カミオカンデ)に照射して行なう実験で、ニュートリノ振動の存否を探る実験です。 この実験でKEKに設置された装置の中で、 GPSを使った測定装置があります。この中でも Bit3 PCI/VMEアダプタが使われています。

その他の応用事例

上記の実験以外にもさまざまな形でBit3 PCI/VMEアダプタが利用されています。 例えば、 テレスコープ計画におけるフロントエンドトリガー オンラインデータ制御 Data Aquisition system of CANGAROO-III Telescopeはその事例です。 また、 ナタリアさんのドライバとは別にBit3 PCI/VMEアダプタ用に ドライバが開発されています。